映画はもうすぐ百歳になる

押井守監督作品、『Talking Head』でそのベースとなったのがこの四方田犬彦氏の「映画はもうすぐ百歳になる」である。

『Talking Head』に出てくる数々のシーンの根拠、また多くの印象的な名セリフの一部はここから引用されている。

映 画館というセットに持ち込まれた車のシーン、「自動車のフロントグラスはそれ自体が映画のスクリーンに類似している」(同書P41)、「映画は常にハッ ピーエンドでなければならない」(P53)、「声はつねに映像に従属してきた」(P89)、ウォルトディズニーについての言及、テクニカラーについての言 及、そして何と言っても「フィルムは変色し、摩滅し、燃えて融けてしまう」(P108)という名セリフ。

無論それらすべてを単純に引用しているわけではなく消化吸収を行いそして押井守的にキャラクター造形の言及なども行われている。後に両者の対談でこの引用について触れられているものもありこれらを読むことで当時の押井守監督の意図が見て取れる。

現在この本は絶版のようであり入手は困難のようである。だが映画が好きと自認するのであれば入手して読まれる事をお薦めする。映画論的な部分をさらりと描かれとても理解しやすい内容である。